リフォームは建築確認申請が必要ないと思っていませんか?
建築確認申請を必要としないケースにはいくつかの条件があります。
そこで今回は建築確認申請の要不要について解説したいと思います。
建築確認とは何か
建物が建築基準法どおり計画されているかどうか審査されること。
建築物だけではなく、工作物や昇降機にも義務付けられております。
構造上、防火上、安全上、衛生面などで支障がある建築物の現出を未然に防ぐことが目的です。
工事着工前に各自治体の建築主事または、国が認定した指定確認検査機関によるチェックを受け発行される『確認済証』がないと工事を着工してはいけません。
また、工事の途中や工事完了時にも図面通り施工されたかどうかチェックされ、最終的には『検査済証』が発行されます。
建築とは
実は、建築基準法ではリフォームという言葉は使われません。
建築という意味の中に①新築②増築③改築④移転が含まれており、それぞれ以下のように定義されております。
①新築・・・更地に建築物をつくること
②増築・・・建築物の床面積、延べ面積を増加させること
※床面積が発生しない屋外階段など増築になるケースもあり
③改築・・・建築物の一部又は全部を取り壊し、同一敷地に従前の用途・構造・規模と著しく異ならない建築物をつくること
④移転・・・同一敷地内で建築物を移動すること
リフォームに関係してくるのが②増築と③改築になります。
しかし、一般に言われている改築工事とは意味が異なっていますね。
従前の建築物と異なる場合は改築とはいわず新築になります。
大規模修繕 大規模模様替えとは
まずは用語の定義
・大規模修繕・・・建築物の主要構造部1種以上を同じ材料を用いて過半の修復するこ
・大規模模様替・・・建築物の主要構造部1種以上を材料・仕様を替えて過半の工事すること
主要構造部の半分以上をやり替える場合に大規模という言葉がつきます。
それでは主要構造部とは何でしょう。
・主要構造部・・・壁・柱・はり・床・屋根・階段のこと
ただし、以下の部分は除外されます。
- 建築物の構造上重要でない間仕切壁
- 間柱
- 付け柱
- 揚げ床
- 最下階の床
- 回り舞台の床
- 小ばり
- ひさし
- 局部的な小階段
- 屋外階段
- 上記その他これらに類する建築物の部分
つまり、屋根を半分以上やり替える工事、外壁を半分以上やり替える工事、2階の床を半分以上やり替える工事などが大規模修繕、大規模模様替となるわけです。
確認申請が必要なケース①増築工事
増築工事においては原則は確認申請が必要です。
ただし、防火地域、準防火地域以外の地域でかつ、10㎡以内の増築工事については不要となります。
防火地域、準防火地域の指定については各自治体で指定されており、最近ではネットでも簡単に検索できるようになっておりますが、市役所の都市計画課に該当する住所を伝えて問い合わせるとすぐにおしえてくれますよ。
建築当初は指定がなかったのに、後から防火指定の地域になることが多々あります。
法規上の制限が変わってまいりますので、増改築の際には必ず確認することをお勧めします。
よくあるのがサッシの交換です。
防火サッシと通常サッシとではお値段も結構違いますし、外から見て合法か違法かはすぐわかってしまいますので、違法建築物とならないようご注意ください。
確認申請が必要なケース②大規模修繕、大規模模様替
大規模修繕、大規模模様替については建物の構造によって条件が変わります。
建築基準法では建築物の種類を以下で分類しております。
- 1号建物・・・特殊建築物※でその用途の延べ床面積が100㎡を超えるもの
- 2号建物・・・木造のうち3階建て、高さ13m超え、軒高9m超え、延床500㎡超えのいずれか
- 3号建物・・・木造以外で2階建てまたは200㎡超え
- 4号建物・・・上記以外の建物
大規模修繕や大規模模様替で確認申請が不要となるのは4号建物だけです。
※2024/08記事 法改正にて4号建物がなくなるので要注意
2025年建築基準法改正はリフォーム工事にどう影響するのか | うまもつこ@主婦建築士の快適生活 (umamochu.com)
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物、3階建ての建物、混構造の建物で主要構造部を半分以上やり替える場合は確認申請が必要となりますのでご注意ください。
※1号建物の特殊建築物については以下の建築基準法 別表第一に記載されております。
確認申請が必要なケース③用途変更
用途変更とは適法に建築された建築物を使用してほかの用途に転用する行為のことです。
用途の変更行為は『建築』ではありませんが特殊建築物の用途変更で100㎡を超える場合(上で説明した1号建物)は手続きが必要となります。
ただし、類似の用途(たとえば、劇場→映画館)の場合は確認申請は不要です。
類似の用途として認められるものも具体的に指定されており、下の当該各号間での変更であれば確認申請は要しません。
1)劇場、映画館、演芸場
2)公会堂、集会場
3)診療所(患者の収容施設があるもの)、児童福祉施設等
4)ホテル、旅館
5)下宿、寄宿舎
6)博物館、美術館、図書館
7)体育館、水泳場、スキー場、スケート場、ボーリング場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
8)百貨店、マーケット、その他物品販売業を営む店舗
9)キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バー
10)待合、料理店
11)映画スタジオ、テレビスタジオ
つまり、劇場から公会堂への工事については確認申請が必要で、劇場から映画館への変更は確認申請は不要ということになります。
建築確認申請が免除されても違法であってはならない
上記で解説した通り、防火指定を受けていない地域での10㎡以下の増築工事、木造2階建てのリノベーション工事などは建築確認申請の義務はありません。
しかし、建築基準法に適合しなくてもよいわけではありませんのでご注意ください。
リフォーム時にありがちな違法工事をいくつか上げておきます。
・10㎡以内の増築で建蔽率を超えてしまう
・同様に10㎡以内の増築で道路斜線や北側斜線にあたってしまう。
・ 防火地域や準防火地域と認識せずに増築してしまう
・ カーポートの面積を計上し忘れる(床面積にはいります)
・ 延焼の恐れのある部分を防火サッシにしていない、換気扇にダンパーがついてない。
・ 外壁で延焼のおそれのある部分を準防火性能を有する構造としていない
・第一種低層住居専用地域等で外壁の後退距離を確保していない
・4m以上の道路に接道していない(4m以下の道路の場合、敷地を後退していない)
・居室の必用換気量、必要採光が確保できていない(増築することで敷地までの距離が変わるケースはさらに注意が必要)
と・・・あげだしたらキリがないですね。。。
増築することで敷地との距離に変更が出た場合、道路斜線、北側斜線の後退距離も変わります。
ここは結構見落としがちです。
また、昔の法律には適合しているが、現在の法律には適合しない建物を既存不適格建築物といいます。
この場合は違法建築物とは異なり、前向きな措置がとられますが、やり替える部分については適法にしなければなりません。
違法と認識しながら工事を施工してくれる工務店さん、大工さんもいるとは思いますが、責任は建築主、持ち主にかかりますので十分ご注意くださいね。
建築基準法のより詳細の解説は順次行っていきます。
それではまた。
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